【自治体職員向け】「新しい地方経済・生活環境創生交付金(デジタル実装型 TYPE1)」徹底解説

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はじめに:なぜ今「新地創交付金」なのか?

2024年度からスタートした「新しい地方経済・生活環境創生交付金(以下、新地創交付金)」は、従来の「デジタル田園都市国家構想交付金(通称:デジ田)」を発展させた新制度です。
特に「デジタル実装型 TYPE1」は、自治体が地域課題をデジタル技術で解決するための取り組みを支援するもので、今後の地域行政において重要な役割を果たすと期待されています。
本記事では、デジタル実装型 TYPE1について解説します。

1. 新地創交付金とは?

制度の目的

新地創交付金は、地域の自主性と創意工夫を尊重しながら、地域課題の解決や魅力向上を目指す取り組みを支援する制度です。
特にTYPE1は、以下のようなデジタル技術を活用した事業が対象となります。

  • 書かない窓口の導入
  • 地域アプリの開発
  • オンライン診療の実装

参考までに、内閣官房総合サイト内のオープンデータプラットフォーム“RAIDA”にて確認できる、福島県内の実装状況を示した画像データを以下に掲載いたします。
“デジ田”を含め、多くの自治体で活用されている重要な交付金であることが分かります。

出典:「RAIDA『デジタル実装』」(2025年5月28日に利用) https://raida.go.jp/

制度の全体像

区分内容
第2世代交付金自治体の自由度が高い事業を支援
デジタル実装型(TYPE1)地域課題の解決に資するデジタル技術の導入
地域防災緊急整備型災害対策に特化した支援
地域産業構造転換型インフラ整備や産業支援

2. TYPE1の特徴と申請手順

申請の流れ

1. 事前相談(都道府県庁)
2. 実施計画書の提出
3. 国による審査・採択
※都道府県によって締切が異なるため、早めの準備が必要です。

採択のポイント

採択には「政策的優遇措置(加点)」が大きく影響します。以下のような加点項目があり、申請時にチェックを入れることで採択率が向上します。

加点項目採択後の条件注意点
モデル仕様書の活用指定仕様書での調達が必須仕様変更不可
SaaS等の活用(※1)指定分野のサービスに限定誤チェックに注意
DMPの活用(※2)DMP経由での調達が必須条例改正が必要な場合あり
自治体窓口DXSaaS認定システムの導入が必須非認定製品は不可
コンビニ交付サービスJ-LIS提供サービス限定(※3)他社製品は不可


※1 SaaS (Software as a Service):インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービス
※2 DMP(Data Management Platform):インターネット上に蓄積された様々なデータを一元管理するためのプラットフォーム
※3 J-LIS(地方公共団体情報システム機構)

3. 実施計画書とKPIの設定

実施計画書の作成

実施計画書を作成する際には、事業の目的、内容、期待される効果、予算計画などを詳細に記載します。
その際にKPIの設定と記載が必要になります。

KPIの重要性

KPI(重要業績評価指標(※4))は、事業の成果を定量的に評価するために不可欠です。
RAIDA(デジタル田園都市国家構想データ分析評価プラットフォーム)を活用し、他自治体の事例を参考にすることが推奨されています。

※4 重要業績評価指標:組織やプロジェクトの目標達成度を測るための具体的な指標。

– 4. 調達と導入における注意点

優遇措置を受けた場合の制約

加点を受けた場合、調達方法や導入システムに制限が生じます。
たとえば、モデル仕様書を活用した調達が必須となり、仕様変更が認められないケースもあります。

随意契約の扱い

原則として競争性のある調達が望ましいとされており、随意契約は例外的な扱いです。
調達後には、調達手法や理由の報告が求められるため、慎重な対応が必要です。

5. 今後のスケジュールと対応

令和7年度のスケジュールは未掲載ですが、参考までに令和6年度のスケジュールを掲載いたします。

期間対応内容
~2月中旬実施計画書の提出、優遇措置の確認
~4月末採択結果の共有、申請内容の情報収集
~9月調達仕様書の作成、入札準備

6. よくある質問(FAQ)

Q. KPIはどのように設定すればよいですか?

A. システム導入の目的に合わせて、アウトプット指標(成果を測るための具体的な指標)と、アウトカム指標(最終的な効果を測るための指標)を設定してください。また、RAIDAを使って他自治体の事例を確認するのも有効です。

Q. モデル仕様書の変更は可能ですか?

A. 基本的に変更は認められていません。必須機能の削除も不可です。

Q. DMPを活用するにはどうすればよいですか?

A. 条例改正が必要な場合があるため、令和7年度上半期までは利用が難しいとされています。

おわりに:自治体の創意工夫が未来をつくる

新地創交付金(デジタル実装型 TYPE1)は、自治体がデジタル技術で地域課題を解決するための支援制度です。
上手にデジタル技術を活用することで、地域の魅力を高め、住民の生活を豊かにできるかもしれません。
自治体職員の皆様には、この交付金を地域課題解決の一つの選択肢としてご検討いただけたらと感じております。
また、「地域課題をICTで解決する」を掲げる弊社も、このようなお取組みをバックアップできるかもしれません。
お悩みごとがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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